集まっていただいた多くの見学者、みなさん興味津々 | |
平成24(2012)年3月17日(土)午後1時より、今治市朝倉甲に所在する下経田遺跡の現地説明会を開催しました。 この遺跡は、国土交通省より委託を受けた当センターが、国道196号今治道路建設に伴う埋蔵文化財発掘調査として、平成18年度より行っている調査の一部です。 同じ路線の発掘調査を行ってきた遺跡として、平成18年度に経田遺跡・平成19年度に経田遺跡・平成21年度に下経田遺跡・平成22年度に朝倉南今若遺跡および鳥越1号墳の現地説明会を開催して、地域の方々や歴史ファンの皆様に埋蔵文化財に触れていただく機会をもうけており、いずれの回も多くの方のご来場をいただいています。今回の開催は、平成23年10月の今若遺跡に続き、今治道路としては6回目の現地説明会となります。 調査区内では、流路と壺棺墓を中心に、多量の遺物や壺棺を出土したままの状態で見ていただきました。心配されていたお天気も前日夜の強雨が嘘のように晴れわたり、春の好天に恵まれました。また当日は見学者の何人かに即席考古学者になってもらい、遺物の測量や取り上げなど、発掘を体験してもらいました。体験発掘に参加した子供や大人たちの遺物を取り上げた時の好奇心に満ちた表情はとても素晴らしいものでした。 |
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真剣な眼差しで慎重に発掘する女の子 高校生も1800年の時を経て取り上げられようとする土器に興味津々 少年考古学者、発掘中!! 壺棺墓にも興味津々 壺棺墓に見入る見学者 遺物展示ではいろいろな質問も飛び交いました 調査員にとっても真骨頂!!そしてハレの場でもあります |
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現地説明会当日は、約150人の方々が集まってくださいました。心よりお礼申し上げます。 |
: 遺跡の概略 : | |
平成23年度の今治道路建設に伴う埋蔵文化財調査は、朝倉南地区・古谷地区・下経田地区の3箇所で行っています(今回の現地説明会は、下経田地区の下経田遺跡を対象とします)。 下経田遺跡は頓田川の左岸に広がっている遺跡で、今年度調査した調査区では、弥生時代中期末(約2,000年前)、古墳時代初頭(約1,800年前)、古墳時代中・後期(約1,600〜1,400年前)、奈良時代(1,300年前)の4時期の遺構が検出されました。 中でも、検出された竪穴建物は32棟を数え、平成21年度調査分をあわせると90棟を越えています。また、復元できる掘立柱建物も9棟が検出され、各時期において居住遺構が展開し、良好な集落遺跡を形成しています。 今年度の調査では、古墳時代初頭の集落構造を知る遺構(流路と壺棺墓)が検出されています。 流路は古墳時代初頭から奈良時代まで存続する遺構で、堆積状況から洪水による堆積層がいくつも確認できました。また、完形に近い土器が多量に捨てられ、滑石製模造品が出土するなど、各時期において水辺の祭祀を行った様子を窺うことができます。 そして、流路によって居住域から隔たれたところには墓域が形成され、壺棺墓群が見つかっています。これは当時の葬送観念や集落景観を復元するための重要な成果です。 また、流路の堆積から、洪水が幾度となく集落およびその近辺で起こっており、そのたびに当時の人々は祭祀を行い、集落を保持あるいは再建したものと考えられます。 |
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流路(SR4)から出土した古式土師器群 (古墳時代初頭:約1800年前) |
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壺棺墓 (e区ST2) | |
壺棺墓 (e区ST4) |
現地説明会資料[PDF] (4.6MB) |