北竹ノ下I遺跡きたたけのしたいちいせき出土青磁筆架せいじひっか の紹介


青磁筆架 北竹ノ下T遺跡(西条市安用・道前平野農地整備事業に伴う埋蔵文化財発掘調査)において龍泉窯青磁筆架が出土しました。日本では初めてです。

 青磁筆架は、8区の井戸(SE2・15世紀〜17世紀前半)から出土したもので、8区では室町時代〜江戸時代初頭の遺構・遺物が確認されています。

 筆架とは、書写や作画の間に筆や墨を寝かせておくための台で、今回出土した筆架は、 龍泉窯りゅうせんよう (中国浙江省)の製品で、明代(15世紀)のものです。日本での筆架の出土例は極めて少なく、福井県 白山平泉寺はくさんへいせんじ 旧境内(国史跡)で華南三彩の筆架、福岡県博多遺跡群で青白磁の文鎮または筆架と考えられる遺物(重要文化財)が出土しているのみです。

 筆架は、中世において「文房四宝ぶんぼうしほう」と言われる筆・硯・墨・紙のかたわらにあって、水滴(水差し)や硯屏けんびょうなどとともに置かれた嗜好性の高い文房具です。室町時代の文献である「君台観左右帳記くんだいかんそうちょうき」(足利将軍家の座敷飾りについて記載した書)にも筆架は描かれ、将軍家においては他の文房具とともに書院飾りとして使用されていることが確認できます。

 以上のことから、青磁筆架の出土は、書や絵画を嗜み、文房具にもこだわりを持つ文化的水準の高い人物(僧侶や有力な武士)が本遺跡の近傍に存在していたことを示しています。




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筆架出土状況1 筆架出土状況2
筆架出土状況

北竹ノ下T遺跡についてはこちらをご覧ください
平成30年度現地報告会
平成31年度現地報告会


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