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平成26年2月4日(火) 〜 平成26年2月28日(金)


展示の概要
 平成25年度に当センターの資料係が行った再資料化作業にて、松山市平田に所在する平田七反地遺跡で出土した平安時代末の井戸(b-2区SE1)の井戸枠に使用された刳り抜き材が、準構造船の船材を転用したものであることが判明しました。
 その成果発表として、センター1階展示室にてミニ展示を行います。

 2000年に刊行された報告書では、b-2区SE1の平断面図は掲載されているものの、刳り抜き材は掲載されませんでした。これは当時、大型木材である刳り抜き材の保存処理に時間がかかり、報告書刊行までに処理が間に合わなかったことが原因です。保存処理が完了した後は、そのまま愛媛県教育委員会に移管し、遺物保管庫に収納されることとなりました。

 2013年10月に愛媛県埋蔵文化財センター資料係が保管庫に置かれていた刳り抜き材が準構造船丸木船材の転用材であることを確認し、保管者である愛媛県教育委員会の承諾を得て再資料化に取り組み、実測・復元・考察を行いました。

 その結果、準構造船の時期は、転用された井戸の埋没時期が12世紀末から13世紀初頭であることから、井戸はそれ以前に使用されていたと考えられ、さらに転用前の船としての利用はさらに古くなることは間違いないことがわかりました。少なくとも12世紀後半を下限とする時期に使用された平安時代後期の木造船であると言えます。

 もともとの準構造船については、次のようにまとめることができます。

 船の長さは5m40cm以上、船底幅は1m20cm以上です。船底幅から類推すると船の長さは10mを超える可能性が高いですが、今回資料化した船材01〜03では証明することができません。いずれにしてもその規模と構造から、海上で使用された木造船である可能性が高いといえます。

 準構造船の出土は四国で初めてであり、大阪府と兵庫県を除くと瀬戸内海沿岸では岡山県菅生小学校裏山遺跡に次いで2例目となります。特に、平安時代後期における「おも木」構造の準構造船を特定できたのは初めてであり、その学術的意義には大きなものがあります。この資料は考古学のみならず、船舶史や瀬戸内の海運史を考えるうえで重要な資料であると位置付けることができます。


主 催 公益財団法人 愛媛県埋蔵文化財センター
会 期
・開館時間
平成26年2月4日(火) 〜 平成26年2月28日(金)

9:00〜17:00
(ただし入館は16:30まで)
休館日 土・日・祝祭日
会 場 愛媛県埋蔵文化財センター 1F展示室
[ → 地図・アクセス方法はこちらから ←]
問い合わせ先 公益財団法人 愛媛県埋蔵文化財センター
TEL : (089)911-0502


:展示の様子:
平田七反地遺跡出土_準構造船船材
井戸枠として転用されていた船材
船材としての痕跡が残る
船材2
船材としての痕跡が残る
あちらこちらに船材の痕跡を残す
船材としての痕跡が残る
大きなクスノキを刳り抜いている


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