北竹ノ下Ⅰ・Ⅱ遺跡 現地説明会の報告
[2021年3月8日(月)~12日(金):西条市安用]




遺物の説明に聞き入る見学者の皆さま

現地での説明に聞き入る皆さま

 2021年3月8日(月)から3月12日(金)までの期間、西条市石延・安用・広岡に所在する北竹ノ下I遺跡と北竹ノ下II遺跡の現地説明会を開催しました。

 当センターでは道前平野農地整備事業に伴う発掘調査を2018年度より実施しており、現地説明会の開催は今年度で3回目となります。

 今回の現地説明会は新型コロナウィルスの影響もあり、基本的な感染回避行動を徹底するため、例年のように休日1日に限定した開催ではなく、平日月曜から金曜までの5日間、時間帯は9時〜12時と13時〜15時30分の間に開催し、調査現地にお越しいただく方法を採用いたしました。従来とは異なる変則的な説明会の開催となりましたが、100名を超える方々にご参加いただき、説明を聞いていただきました。

 今年度の調査では、縄文時代、弥生時代終末〜古墳時代初頭、古代、中世の遺構・遺物が見つかっており、そのなかでも特にII遺跡で多量に確認された縄文時代早期の押型文土器や、I遺跡・II遺跡両方で確認された弥生時代終末から古墳時代初頭にかけての集落跡について詳しく説明を行い、その特徴をご覧いただけたかと思います。

 最後になりますが、一昨年度および昨年度と同様、調査地周辺に駐車場が確保できなかったため、地元限定の開催になってしまったことをお詫び申し上げるとともに、近隣住民の方々のご助力により、盛況のうちに現地説明会を終えることができたことを篤く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。


中世の集落跡の説明をする調査員
遺物の説明をする調査員



:遺 跡 の 概 要:

 北竹ノ下I遺跡・II遺跡は西条市石延・安用・広岡に所在する遺跡で、I遺跡は2018年度より、II遺跡は今年度より農地整備事業に伴う発掘調査を行なっています。

 今年度の調査では縄文時代、弥生時代終末〜古墳時代初頭、古代、室町時代の終わりにかけての遺構や遺物を確認し、これまで断片的であった各時期の集落の全体像が少しずつ明らかになってきました。

 縄文時代では、北竹ノ下II遺跡において縄文時代早期の押型文土器を中心に約5,000点の遺物が出土したことで、近隣に集落跡があった可能性が高いことがわかりました。

 弥生時代では、昨年度にも確認していた弥生時代終末から古墳時代初頭にかけての建物跡を北竹ノ下I遺跡・II遺跡ともに確認したことで、当該期の集落跡が当初想定していた範囲よりも大きく広がることが明らかになりました。

 また、今年度は同時期の壺棺墓を確認したことで、2018年度に北竹ノ下I遺跡で確認した水田跡と合わせて居住域、生産域、墓域という集落を構成する3つの要素が判明したことになります。

 中世では、室町時代の土壙墓・柱穴などを確認しました。昨年度の調査で屋敷地を区画する機能を想定した方形区画溝や青磁筆架が出土した井戸といった重要な遺構・遺物を確認していることもあり、中世の遺構については改めて評価をおこなう必要がありそうです。

出土した縄文土器
出土した縄文土器
壺棺墓
壺棺墓
竪穴建物
竪穴建物


~ 現地説明会当日に配布した資料も合わせてご覧ください ~

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現地説明会資料[PDF]


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