国内最古級の鍛冶工房跡に皆さん興味津々(新谷赤田遺跡にて) | |
平成27年12月13日(日)午後1時より、今治市新谷に所在する新谷石ケ谷古墳群・新谷赤田遺跡の現地説明会を開催しました。 当センターは一般国道196号今治道路建設に伴って発掘調査を実施しており、今治市新谷における現地説明会は平成24年度の調査開始から5度目となります。 当日は天候にも恵まれ、今治市内からだけでなく県内外からも多くの方々にお越しいただき、参加者が総勢約400人を数える説明会となりました。 新谷赤田遺跡では、国内最古級の鍛冶工房跡に注目が集まり、弥生時代の人々が鉄器を作っていた様子を思い描いていただけたかと思います。 また、遺跡の立地上、新谷石ケ谷古墳群へはメイン会場であった新谷赤田遺跡から長い距離を歩いて移動していただくこととなりましたが、多くの方が燧灘を望む高台の古墳を目の前にして、当時の人々や生活に想いを馳せる興味深いひとときとなったようです。 最後になりますが、駐車場に関しまして私どもが想定しておりました駐車台数では収まりきれないほどとなり、参加者の皆さまに大変ご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げますとともに、大盛況のうちに現地説明会を終えることができたことに篤く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。 |
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国内最古級の鍛冶工房はどこ!?(新谷赤田遺跡にて) 掘立柱建物について説明をする調査員(新谷赤田遺跡にて) 新谷古ケ谷古墳群から新谷赤田遺跡を望む 古墳への長い道のりもあと少し… 熱心に質問をされる見学者の方々(新谷古ケ谷古墳群にて) 石室の説明に手を上げて質問をされる見学者の方(新谷古ケ谷古墳群にて) 古墳から出土した管玉とガラス小玉をじっくり観察 |
: 遺跡の概略 : | |
今治道路建設に伴う埋蔵文化財調査は平成24年度から継続して行っており、本年度も新谷地区で行っています。 新谷石ケ谷古墳群では4基の古墳(新谷石ケ谷4〜7号墳)の調査を行い、6世紀代〜7世紀初頭の横穴式石室を持つ円墳であることが分かりました。 中でも、6号墳の石室内からは3体分の人骨や副葬品である須恵器・鉄製品・耳環などが出土しました。人骨や遺物の出土位置から数回に分けての追葬が考えられ、当地域における埋葬行為の様相を知る上で貴重な発見となっています。 新谷赤田遺跡では弥生時代と古墳時代の集落の調査を行いました。検出した遺構は竪穴建物約30棟、掘立柱建物約20棟、土坑・柱穴は約1000基を数えます。 竪穴建物SI04は鉄滓や鉄片、炭化層や赤色の焼土層を持つ土坑から鍛冶工房としての機能が考えられます。新谷森ノ前遺跡2次調査・7区で確認された鍛冶関連建物より一段階古くなる可能性(弥生時代中期末〜後期前半?)も指摘されています。 また、柱の抜き取り後に土器を詰めたような掘立柱建物の柱穴も見られ、建物廃絶に伴う祭祀行為が行われたとも考えられます。この調査で、新谷森ノ前遺跡2次調査・9区で確認されていた古墳時代後期の集落が、谷を挟んだ丘陵にも展開することが明らかとなりました。 |
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新谷石ケ谷6号墳:石室遺物検出状況(近景) | |
新谷石ケ谷6号墳:石室内人骨検出状況 | |
新谷赤田遺跡:SI01・05 | |
新谷赤田遺跡:SI04 |
現地説明会資料[PDF] (3.3MB) |