龍の絵画土器に興味津々です | |
平成26年3月8日午後1時より、今治市新谷に所在する新谷森ノ前遺跡2次およびツノ谷古墳の現地説明会を開催しました。 両遺跡は、一般国道196号今治道路建設に伴って発掘調査を実施しており、新谷森ノ前遺跡は平成24年度に引き続き、2度目の現地説明会です。ツノ谷古墳は、新谷を見下ろす丘陵上に築かれた円墳で、合わせて調査成果を公表しました。 今回公開した広大な調査区には丘陵裾部と谷部を含み、現在の地面の下から現れた古墳時代や弥生時代の地形を実感しながら、現地を歩いていただきました。また、流路では、出土した土器や木製品をそのままの状態でみていただき、遺跡発掘の醍醐味を味わっていただきました。 当日は少し肌寒い気温でしたが、天候に恵まれ、約200名の見学者が来られました。皆様には心より感謝申し上げます。 |
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古代の建物群の説明に聞き入る皆さん 洪水で谷が埋まっていくようすを説明しています 木製品の出土状況をそのまま見ていただきました ツノ谷古墳コーナーではパネルを使って説明しました |
: 遺跡の概略 : | |
平成25年度の今治道路建設に伴う埋蔵文化財調査は、昨年度に引き続き、主に新谷地区で行っています。 新谷森ノ前遺跡は頓田川の中流域に広がっている遺跡で、今回の調査では主として、縄文時代中期末から後期中葉(約4,500〜4,000年前)、弥生時代前期末(約2,300年前)・中期後半(約2,200年前)・後期前葉(約1,900年前)、古墳時代前期初頭(約1,700年前)・後期(約1,400年前)、古代(約1,200〜1,000年前)の遺構、遺物がみつかりました。 特に注目されるのは龍の絵画を描いた弥生土器で、昨年度に引き続き4点目の出土になります。昨年度発見のものより約50年新しい土器に、簡略化された龍の絵が描かれており、龍の絵画土器を使用した祭祀が継続して行われていたことを示しています。 弥生時代から古墳時代の溝や流路からは、多くの木製品(梯子、平鍬未製品、又鍬、建築部材など)や植物遺存体が出土しました。 丘陵裾部からは、古代の集落跡がみつかりました。柱の跡が密集しており、多くの掘立柱建物が建てられていたことがわかります。昨年度調査した官衙関連遺構と同時期と考えられ、古代新屋郷のようすが明らかになりつつあります。 ツノ谷古墳は、新谷森ノ前遺跡の南東部丘陵・瀬戸内海と今治平野を臨む尾根上に立地する、古墳時代後期の円墳(直径11.5m)です。 古墳の中央から東側は破壊されていましたが、半分近く残っていた横穴式石室内から各種の須恵器が埋葬当時の状況で出土しており、葬送儀礼を解明する基礎資料となりえます。 |
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新谷森ノ前遺跡2次 4区SD45 遺物出土状況 | |
新谷森ノ前遺跡2次 4区 水田跡(古墳時代前期初頭) | |
新谷森ノ前遺跡2次 4区 古代の建物群 | |
ツノ谷古墳 石室内の副葬品 (須恵器・土師器・馬具・武器・農耕具・耳環・玉類など) |
現地説明会資料[PDF] (6.6MB) |