全体説明 | |
平成21(2009)年9月19日(土)午後1時より、新居浜市本郷に所在する本郷遺跡の現地説明会を開催しました。 本郷遺跡の発掘調査は県道新居浜港線建設工事に先立って7月から9月にかけて実施致しました。調査の結果、平安時代(9〜10世紀頃)の掘立柱建物や火葬墓などが見つかり、遺物では土師器や須恵器の皿や杯などに混じって、緑釉陶器や灰釉陶器などが出土しました。 掘立柱建物は4棟見つかっていて、二時期の建物が重なり合っていますが、いずれも同じ向きに立てられていることから、同じ目的を持った建物が建て替えられながら存在していたものと考えられます。建物の柱穴にh平面が四角形のものと円形のものがありますが、新しい時期の建物の柱穴は直径が1m近くもあり、立派な建物であったと考えられます。こうしたことから、本郷遺跡で見つかった建物は計画的に作られた施設で、ある程度長期間に渡り継続的に維持された建物であったと考えることができます。 また当時、遺骸を火葬されるのは僧侶や役人など高い階級の人に限られていますし、緑釉陶器や灰釉陶器などは庶民が手にすることができない高級品であったと考えられます。古代の新居浜は神野郡(のちに新居郡に改称)に属していましたが、その役所(郡衙)は本郷周辺に存在していたと推測されています。また、古代の国道である南海道はこの近辺を通っていたと言われ、本郷の東隣には南海道の駅と推測される松木と地名が残っています。 こうしたことから、本郷遺跡は一般庶民の集落ではなく、役所に関係する何らかの施設であった可能性が高いと考えることができます。 現地説明会には、新居浜市内ばかりでなく市外からも多くの方々が来られ、200人を越える見学者を迎えて大変盛況な会となりました。どうもありがとうございました。 |
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現地説明会資料[PDF] (1.0MB) |
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