所在地
伊予郡砥部町上原町
所属時期
江戸時代
大下田窯跡は『砥部焼』の生産地である伊予郡砥部町の上原町に所在する、砥部動物園建設(駐車場)に伴い昭和57年に調査した近世の登り窯です。陶磁器を焼いた1号窯と施釉瓦を焼いた2号窯があります。
1号窯は胴切間(余熱室)と5連房の焼成室となっていました。全長は15mで最上部の焼成室奥の幅が約5m、傾斜は15度です。この窯は現在、砥部町立砥部焼創作館裏に移築され、見学することができます。
この窯の捨て場から出土した陶器皿の底に「天○辛夘○ 麻生焼」の文字があり、表記の年代は江戸後期の『天保2年(1831)』と考えられています。『砥部焼』ではなく『麻生焼』となっていたため、調査時は「?」でしたが、現在は砥部焼研究者によって研究が進み、この窯に関わった職人のことなどが分かってきています。
出土した遺物には陶器(茶碗・皿・鉢・花瓶・急須)・磁器(飯椀・皿・徳利)があり、素焼きのものも多く含まれています。また、器に描かれた絵を見ると精巧なものと稚拙なものがあることが分かります。
2号窯は胴切間(余熱室)と9連房の焼成室となっていました。全長は19mで最上部の焼成室奥の幅が約3m、傾斜は23度です。
こちらは砥部町内では珍しい瓦窯で、この窯で焼かれた赤色釉の瓦を使用した建物が町内に残っています。
|