所在地
伊予市双海町上灘
所属時期
旧石器
高見I遺跡の発掘調査は、四国縦貫自動車道建設に伴って行われ、建設地内の2,400平方メートルが調査されました。遺跡は中央構造線の南側で、標高約300mを測る独立丘陵が点在する中山川上流域にあります。ここでは後期旧石器時代後半期の石器群が確認されています。
ここでは148点の出土が確認されており、これらは4つのブロック(地点分布)を形成して出土しているほか、石器の接合資料が3例確認されました。この場所で石器を作ったことがわかります。出土した石器類は、ナイフ形石器、角錐状石器、スクレイパー、石核、剥片、砕片、焼礫で、製品であるナイフ形石器、角錐状石器、スクレイパーは、点数上で全体の約8%です。石器に使用された石材は、赤色珪質岩、サヌカイト、安山岩、頁岩、チャートがあり、多様な石材利用を示しています。このうち多数を占めるのは赤色珪質岩で、この遺跡の主体的な石材利用であると考えられます。
また、石器の接合資料からは、当時の石器製作を知ることができました。具体的には交互剥離によって剥片剥離を行うものがあり、これによってナイフ形石器や角錐状石器の材料となる剥片が得られていました。石器群の出土は姶良Tn (あいらたんざわ) 火山灰(約2.5万年前)よりも上位から出土しており、確認された石器製作の様相を考え合わせてみても、後期旧石器時代後半期(約2万年前)の石器群であるといえます。
高見I遺跡では小規模なブロックが確認され、ここで石器製作を行っていたことが分かりました。また、発見された石器やその規模から考えると、当時の人々が狩猟のために移動を繰り返した時に残されたものであることがわかります。こうした当時のキャンプ地は、丘陵沿いまたは河川沿いに数多く残されていたと考えられます。
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